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レントゲン‐種類‐

歯科医院でのレントゲン撮影は、1~4本を撮影するデンタル撮影、顎全体を撮影するパノラマ撮影が一般的です。 この内のデンタル撮影は、フィルムを患者さん自身が指で押さえて小さな範囲を撮影する最もポピュラーな撮影法になります。このデンタル撮影は顎全体を撮影するパノラマ撮影に比較してコストと手間がかかりますが、鮮明な画像が得られるため、むし歯や根元の病変などの診断に必須のレントゲンとなります。 パノラマ撮影というのは患者さんの頭部を特殊な装置を回転させながら撮影する方法で、全体の歯の状態や骨の中の異常、下歯槽の神経の位置などを確認する事が可能な検査です。特に歯周病の診断、親知らずの抜歯の際、インプラントの診断などの際には必須の検査になります。逆に、むし歯の診断などの鮮明な画像を必要とする場合にはパノラマ撮影は適していません。 他には、顎の下から写すオクルーザルレントゲン撮影(フィルムの大きさの違いで撮影方法はデンタルと同じ)や、矯正治療で使われる側方から頭全体と歯の突出度を検査するセファロレントゲン撮影などが治療用途によって用いられています。インプラント治療時などでは、骨の断層写真を見る為に歯科用CTも使われる事があります。 これらは患者さんの状態によって医師が各々の撮影方法を選択する事になります。

レントゲン‐診断‐

レントゲン写真とは、X線を患部に照射して透過したX線をフィルムに焼き付けることによって画像にして内部の様子を確認する検査です。白黒のレントゲン写真では、骨や金属などのX線を通しにくい部分は白く、空洞や水、脂肪などのX線を通しやすい部分は黒く写ってきます。医師はこれらの患部の状態を注意深く観察して診断していくのです。 歯科のレントゲンでは、堅い部分が白く写り、堅くない部分(穴が空いている、骨がない)は黒く写ります。口の中での堅い部分とは歯や骨、金属の詰め物などになり、堅くない部分とはむし歯や根の中にある神経、そして病変などになります。さらに、このレントゲン写真からは肉眼では見えない歯茎の内部も確認する事ができます。 奥歯のレントゲン写真を撮影すると、歯茎の中に根元が数本あり根元の周りに白くぶつぶつ見えるのが骨になります。ここまでは正常なのですが、根元が二股に分かれている隙間が黒くみえる事があります。この場合、医師はその部分で骨吸収が起こっていると判断します。骨吸収とは細菌などによって古い骨が分解されて壊されていく状態なのです。 医師はこういったレントゲン写真によってトラブルを確認して、周囲の状態を考慮しながら最善の治療を進めていくのです。

レントゲン‐発見から進化へ‐

現在では医療検査に広く使われているレントゲン(X線)は、今から約120年前の1895年、ドイツの物理学者だったヴィルヘルム・レントゲンが発見しています。余談ですが、この歴史的な電磁波の発見をした当のレントゲン本人はこの電磁波をレントゲンと呼ばれることを好まず、自らが実験中の仮の名称とした「X線」と常に呼んでいたのが今でもX線と呼ばれる名残りになっているのです。 その後、日本では1909年に国産の医療用X線装置についての第1号機が千葉県市川市の国立国府台病院に設置されています。一般の病院に普及するには、それ以降の年月を要しますがレントゲンの発見から国内への導入は迅速だった訳です。 高齢の方でしたら、子供時代に歯医者さんで手のひらサイズの丸くて薄いものを口の中に入れてレントゲン写真を撮っていた経験があるかも知れません。もちろん、その当時は画像も今ほど鮮明ではなかったのです。 現在ではX線の発生効率が上がり、フィルムの質が向上したので、迅速かつ少ない被曝量でデジタル画像ができるようになっています。さらに、現像の必要もなくコンピュータ上に画像を大きく表示できるようになっているのです。

レントゲン‐歯科用CT‐

近年増加の傾向のあるインプラント(人工歯根)とは、歯が抜けてしまった部分の骨にフィクスチャーと呼ばれるネジを埋め込んで、そのネジを土台にして連結部のアバットメントと人工の歯を装着する治療法なのです。 このインプラントは、審美的にも機能的にも大変優れた治療法なのですが、どの患者さんでも簡単に出来て絶対に良い治療結果が得られるというような万能な治療方法ではありません。 特に治療前には顎の骨の状態を詳細に検査する必要があり、その為には歯科用CTの検査が有効とされているのです。 このCT検査では、インプラントや矯正治療において歯と顎の骨の位置関係、大きさなど従来のレントゲンでは確認できない詳細な情報を多く得ることができます。 また、3Dで再現されたCTの画像は患者さんにもとてもわかりやすい画像診断法ともいえるのです。治療を行う医師が患者さんの正確な骨の状態を把握するということは安全性、確実性において大きなメリットがあるといえるでしょう。 優れた治療法といわれるインプラントですが、術後のトラブルは残念ながら皆無ではありません。安全に治療を行う為には、インプラントを装着した後の状態もCT撮影を行って計画通り治療が進んでいるかを検査することが、近年では重要視されています。 現状ではまだまだ未整備とされていますが、将来的には歯科用CTの歯科医院への導入拡大が望まれているのです。

レントゲン‐被爆のリスク‐

日本は世界で唯一の原爆被爆国です。 それに加えて、2011年3月11日の東日本大震災によって引き起こされた福島第一原発事故による放射性物質の流出は国民に甚大な被害を今もなおもたらしているのです。この原発事故以降、放射能に対して改めて国民が神経質になっているのは当然の状況かも知れません。 放射能といえば、医療用のレントゲンにも使われています。人体に有害とされる放射能を、微量といえども使用している事に不安を覚えている方も少なくないと思います。 では、歯科の検査でも使われているレントゲンにもリスクはあるのでしょうか? 答えは「全く心配はいりません。」と断言していいでしょう。歯科のレントゲンで使われる実際の放射線量はというと、パノラマX線写真(大きなレントゲン写真)0.004mSv(ミリシーベルト)、デジタルデンタルX線写真(小さなレントゲン写真)で0.001~0.002mSvです。例えば、集団検診で撮影する胃のレントゲン写真1枚が約4.1mSvと比較しても極々微量なのが分かります。歯科のレントゲンで使われる放射線量は人間が自然界から1年間に受ける放射線のおよそ40~100分の1程度なのです。 どうか、安心して歯科のレントゲン検査を受けられて下さい。

レントゲン‐口腔内写真‐

歯科に限らず、医療は常に進化しています。ほんの数十年前にはなかった治療方法や医療機器が今では当たり前になっているものが少なくありません。 その一つがデジタルカメラを使った口腔内写真ではないでしょうか。 この口腔内写真は、レントゲンのような歯や骨の内部を検査するものではありませんが、診断の材料となる口腔内の変化を示す写真資料として歯科医院の診察に導入されています。 その目的として、診断における活用、歯科医院として患者さんの継続した変化を記録に残して管理する、患者さんに患部の写真を見せて治療へのモチベーション向上を図る、といった事が挙げられます。 治療においては、歯列の関係性が非常に重要であり、治療計画を適切に立てていくには口腔内写真は重要な検査事項になっています。 治療される患者さん側にすれば、「自分の歯が人にどうみられるか」が重要なポイントになり、口腔内の写真は客観的に自分の状態を把握する為に必要といえるのです。 口腔内写真を撮影する歯科スタッフは、常に一定の条件を保って肉眼で見えるのと同様に撮影された、規格性のある口腔内の写真を残さなければいけません。不適切な撮影を行うと、写真から適切な判断ができなかったり患者さんに誤ったイメージで伝わってしまうのです。 治療はもちろんですが、口腔内写真にも細心の配慮が歯科スタッフに求められているのです。

レントゲン‐放射線の種類‐

一般の方だと、放射線イコールX線と思われている方もいるかも知れません。しかし、放射線の中には様々なものが含まれているのです。この内の有名なものを挙げると、アルファ(α)線、ベータ(β)線、ガンマ(γ)線、X線などになります。 一般の医療でも歯科でも、検査のためにはX線が主体として用いられていますが、その理由はどこにあるのでしょうか? そのX線が使われる1番の理由は取り扱いの簡便さに他なりません。他の放射線は作るのが大変なのと、天然にある放射線は取り扱いに厳重な注意をしないと被曝事故につなるリスクがあるのです。 これに対してX線は、一般家庭用の100Vの電源から作ることができるのです。電圧を高くすることが必要ですが、基本的にはコンセントを差し込んでタイマーを設定してスイッチを押し続けるだけで、設定した量だけX線が放出されます。途中でX線の放出を止めたいときには、押しているタイマースイッチを離せばよいという安全機構が付いているわけです。 アルファ(α)線やベータ(β)線などは、特殊な医療機器を使って特定の部位に生じた癌の治療などに応用されていますが、体に対する影響力がさほど大きくなく、比較的安全に使うことができるX線などが、通常のエックス線撮影や放射線治療一般などに用いられているのです。

レントゲン‐レントゲンの目的‐

歯というものは、顎の骨(歯槽骨)の中に根元が埋まっていて、その上に歯肉がかぶさっています。つまり、外から見えている歯というのは、歯の頭の一部分だけという事になります。歯のトラブルというとむし歯や歯周病が多くなりますが、外から見えている状態は全体の症状の一部になり内部の状態までは確認できません。そこで内部の状態を詳しく診断する為にレントゲン(X線)検査が必要になってくるのです。 医療全般で行われている検査には、レントゲン以外の検査も幾つかありますが歯科ではレントゲンが主流で、これには理由があるのです。 産婦人科や内科の検査で良く使われている「超音波(エコー)検査」は、超音波を使用しているので被爆のリスクはありません。しかし、この超音波は骨や空気の中を通過できないので歯科の検査には使えないのです。 体内の詳しい検査に使われる「MRI」は、骨の中の状態は見えるのですが歯の中の細かい状態までは確認できません。「MRI」は磁気を利用した検査法なので被爆の問題はないのですが、歯科の検査には向いていないのです。 他には、レントゲンを使った「CT」検査がありますが、この検査は検査する患部を輪切りにして撮影するのが特徴なので、細かいむし歯の患部などを見るのには適していません。 つまり、歯の検査にはレントゲンが一番適しているのです。

レントゲン‐料金‐

歯科の診察に欠かせないレントゲン検査ですが、この料金について説明したいと思います。 平成24年に改訂された歯科診療報酬点数表によると、デジタルレントゲン(レントゲンをデジタル化したもので、画像が鮮明で被爆線量が従来の4割未満で撮影できます。)による顎全体を撮影するデジタルパノラマで402点、部分的な歯を撮影するデジタル標準型だと58点、同じ場所の確認の為に撮影する2枚目以降の撮影だと48点と定められています。 診療報酬点数の1点は10円になり、点数×10×負担率で計算して一部負担金(1円単位は四捨五入)を算出する事になります。 例えば、デジタルパノラマを撮影した場合は3割負担の患者さんだと、402×10×0.3で計算して負担額は1206円ですが1桁は四捨五入されますので1200円という事になります。この金額は単純にレントゲン検査だけの金額ですので、初診料や再診料は含みません。全体の撮影よりも部分的な撮影の方が割高に設定されています。 「歯医者さんのレントゲンは高い。」という声がありますが、実は同じ検査をしてもアメリカですと5倍位の金額を請求される事があります。 上記の金額は単にデジタルパノラマを撮影した場合の点数を想定していますが、処置料やその他が加算される事があるので窓口での請求額が不明の場合は説明を求めて下さい。

レントゲン‐パノラマx線撮影‐

患者さんの上下の顎全体を撮影するパノラマX線撮影による画像は「魚拓のようなもの」と例えられる事があります。 X線撮影というのは、被写体を透過したものだけを直接フイルムに収集するので、いわゆる「影絵の写し取り」ともいわれています。 患者さんの顎全体に対して後ろから前に単純にX線を照射して影絵にすると、歯と歯が重なってしまいます。そこで局面状の顎の骨を展開して、平面のフイルムに画像として写す必要があるのです。つまり、パノラミックに展開して写真に作り上げるので、パノラマX線写真と呼ばれているのです。 歯科においてのパノラマX線撮影は、口を開けずにスリット状のX線ビームを回転させて湾曲した顎骨を展開した像として撮影することができる歯科独特の撮影方法といわれています。 通常のレントゲンだと鉛の防護用エプロンを着用して、体に被曝が生じないようにしますが、このパノラマ撮影の際には、鉛のエプロンを使用する事で画像が乱される事があるので、エプロンの着用は必須ではないといわれています。 被曝に関しては、パノラマ撮影の場合では鉛のエプロンを着用しなくても体の被曝量は着用した場合と差がないといわれているので、鉛のエプロンを使わなくても安全は確保できているといわれているのです。