勉強用

高齢者歯科を取り巻く近年の施策の動向 

国立保健医療学院の三浦宏子先生の講演を聞きましたのでまとめます


8020運動の経緯

平成元年 8020運動が提唱される
成人歯科保健対策検討会において、「生涯を通じた歯科保健対策を推進するには、目標設定が必要ではないか」ということから生まれた。
平成12年 都道府県を主体とした「8020運動特別事業」が開始される
平成17年 8020達成者が20%を超える
平成23年 8020達成者が40%を超える
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(五條の感想)
WHOの目標が2000年(平成12年)までに65歳以上の50%が20本以上の歯を持っている
となっているので比較はできないけれどもスコア的には追いつけてきてるんでしょう
平均寿命が80歳なんて言っている国は本当一握りなので日本が誇っていい目標でしょう
一部の先生には「80208ではなく8028じゃないとダメ」なんて言われるかもしれませんが
あくまでもスローガンなので語呂は良かったのでは

歯科診療所を受診する推計患者の年次推移

高齢化に伴って高齢者の患者が増え受診者の1/3が65歳以上になってきている
一方で75歳位以上の人は以下の診療所では増えているのに歯科診療所では減少している
通院困難者が増える中、歯科が後回しになっている可能性がある
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(五條の感想)
まだまだ、歯科の重要性が認知されていない感じ
口から食べることで、呼吸を整えることで、口の中をきれいにすることで
いろいろな医科的な問題が解決できることの啓蒙が必要だ
健康日本21(第二次)の目標
咀嚼能力が良好と答える人は
40代で90%
60代で70%
70歳以上では60%を切る
地域歯科保健対策に初めて口腔機能の目標数値が設定された
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国の基本方針である「健康日本21」(平成24年〜34年)の中で生活の質の向上が重視され
その中でも口腔保健、機能の維持向上が明記されるようになった
そのためにも
・正しい知識の普及
・人材の育成
・連携の構築
が重要であり平成34年に評価がされる
その一つの手法として後期高齢者の歯科健診事業に予算が振り分けられることになった
(平成26年度 30億円中歯科健診部分として4.9億円)
一億総活躍社会の実現の見地からフレイル対策に注目が集まりつつある
(五條の感想)
GCのモーショントレーナーはそういう意味ではかなり先見性のある機械だと思う
咀嚼を数値化して機能の変化を追うことは今後の歯科医療にとって必要だろう
国の方針の中に歯科口腔の健康維持が入ったことは画期的事件だと思う
歯科の歴史を紐解いても戦後にやっと厚生省の課長クラスに歯科医師が入れたのと同じぐらい衝撃的なこと
(確か局長級には歯科医師はなれなかったはず;誰か教えてください)
そのためにも人材を育成し、数値での証拠を残し
「歯が健康だと全身的にも健康だ」
ということがわかってもらえるような
そんなプロジェクトを打ち立てないといけない
民進党が蓮舫さんになって政権を取って10年ぐらい維持しないと
(共産党でもいいけど)この流れは変えられないでしょう
少子高齢もここまで来ると本当に75歳ぐらいまで現役と同じように
働いてもらわないと社会が成り立たなくなります
そう考えるとなんとかして働けるような体でいてもらわなくてはいけないわけですから
虚弱(フレイル)なんてもってのほか健康第一なわけです
健康は社会的にも機能的にも維持できてなんぼなので口が大切ということになるんでしょう
ますます忙しくなるなーなんて思ったり

高齢者・障碍者あんしん電話事業(横浜市運営)のご案内

市から一人暮らしの障害のある方、高齢の方への助成が始まりました
緊急の時の通報装置設置ができるそうなのでご紹介します
対象者
65歳以上または障害者手帳(二級以上)を交付された人
申込先
お住まいの区の『高齢障害支援課』
例;金沢区役所 高齢・障害支援課
〒236-0021 横浜市金沢区泥亀二丁目9番1号
電話:045-788-7849 ファックス:045-786-8872
費用
非課税、生活保護世帯 無料
課税世帯 月額650円(税別)
あんしん電話は「アナログ」回線しか通じないので
今のインターネットの時代回線によっては上手くいかなさそうなので注意してください
詳しくは区役所まで

要介護者の義歯に付着する呼吸器疾患を起こす細菌について

Colonization of denture plaque by respiratory pathogens in dependent elderly.
目的
全部床義歯のデンチャープラーク細菌叢についてのより詳細な情報を得ることと要介護高齢者の呼吸器系疾患を誘発する可能性がある口腔内の感染性病原菌の存在を評価すること
結果
18 種類の細菌種が検出され,Streptococcus spp.(98%),Candida spp.(80%),Neisseria spp.(64%)が多かった.
要介護高齢者 50 名中 23 名の全部床義歯から呼吸器疾患を引き起こす可能性を有する病原菌が検出された
結論
・ 呼吸器感染を引き起こす可能性がある細菌が要介護高齢者の全部床義歯に凝集していた.
・ デンチャープラークは呼吸器疾患を引き起こす可能性がある病原体が中咽頭部での凝集を促進する貯蔵庫として働いているかもしれない
【五條の考察:要介護者とそうでないの違いが出せていないが確実に義歯を入れると口腔内が不潔に近づく。レビューのPotential pathogenic aspects of denture plaqueを参考にしたい】

義歯の正しいメンテナンス 2014年11月月刊歯科衛生士より

義歯のケアに対する誤解
義歯のケアはいわゆる「むし歯予防、歯周病予防、口臭予防」ではない「歯周病病原細菌と関連性が高いとされる全身疾患(糖尿病、心筋梗塞、脳梗塞、動脈硬化、誤嚥性肺炎など)の改善や予防」であることを啓蒙しなくてはならない
義歯使用者の88%は口腔内が不潔であることが報告されている
義歯の効果的な洗浄方法は大半の人が知らない。また80%の人が義歯を間違った方法で洗浄している
【考察:ただしこれらの実験がブラジルの実験であり、実態に即していないところもある。】
義歯洗浄の基本は義歯用ブラシによる器械的洗浄、化学的洗浄は器械的洗浄を補うもの
にもかかわらずメディアの功罪のため「義歯洗浄剤を使えば大丈夫」と思っている患者が日本には多い
媒体による影響力は大きい
義歯は細菌の温床になる
義歯の構成要素の境目がデンチャープラークの温床になりやすい
義歯の構成要素は基本、金属とレジンだが金属の粗造な面にプラークがつく
またレジンは内部に伝チャープラークの侵入をゆるし、継時的に劣化をし、さらにデンチャープラークが増殖しやすい環境を作り出す
【五條考察:レジンにカンジダなどの菌が付着し増殖することは歯科医師は知っている。また義歯自体の医学的寿命が3年前後であることも知っている。にもかかわらずほとんどの患者が義歯が10年以上は使えると信じていることに注意をしなくてはいけない】
「唾液を媒体としてデンチャープラーク内の細菌を、全身の臓器に拡散している」ことを啓蒙する必要がある
特に日本人の死亡原因第3位の細菌性肺炎は歯科医療従事者が注目すべき疾患である

齲蝕の学校教育

学校教材におけるフッ化物についての記載についての日米比較

学習指導要領に少学校には「口腔の衛生を保つ」という文言があるが、中学高校にはそもそも口腔衛生に関しての記述はない
2005年の調べでは、フッ素応用について書かれている教科書は1社だけ
アメリカでは小学二年生の教師向けガイドで「歯磨剤を買う時にフッ化物という言葉に注目するよう指導する」ことになっている。小学5年生の時には、生徒の間でフッ素について討議するようになっている
教育の時間が少なくなっているなかで、医療の教育に割く時間が少なくなっており、フッ素まで手が回らない実情がある
身体のほかの部分に比べ歯、口の病気が異常に多い
平成26年の学校保健統計調査から疾病、異常の被患率の上位三位をまとめる
幼稚園
1位 齲蝕 38.4%
2位 視力1.0未満 26.5%
3位 鼻疾患 3.1%
小学校
1位 齲蝕 52.4%
2位 視力1.0未満 30.1%
3位 鼻疾患 12.3%
中学校
1位 視力1.0未満 53.0%
2位 齲蝕 42.7%
3位 鼻疾患 11.2% 
高校
1位 視力1.0未満 62.9%
2位 齲蝕 53%
3位 鼻疾患 8.7%
鼻疾患には口呼吸による問題も含まれているので、歯科と眼科の問題だけともいえる
中学校で齲蝕が減るのは永久歯列に代わるからであり、高校に入って再度増加するのは問題
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学校保健調査概要より引用
上の図でわかるように12歳以降の齲蝕の数は増えてきている
12歳の齲蝕の数は年々減っては来ているが予防の効果は限定的であり学校歯科の問題点でもある
フッ素教育
岐阜県の事例
アンケートの結果フッ化物に対しての知識がない人はフッ素の使用に対して反対する傾向があった
歯科医師会、行政、教育委員会が協力した結果が出ている
歯科口腔保健法、歯科口腔保健推進条例などで積極的なフッ素の使用を健康の維持・増進の手段として位置づけられている
にもかかわらずフッ素に対するネガティブな情報が発信されている
日教組
フレンズ歯科
一方で日本口腔衛生学会は科学的根拠を示して説明してきた
日本弁護士連合会「集団フッ素洗口・塗布の中止を求める意見書」に対する日本口腔衛生学会解説
フッ素によるIQの低下、ADHD発生リスクなど取りざたされているが中国やイランからのみの報告であり症例研究の域を出ない報告に基づくものである
真木教授は「不毛なフッ素論争に決着をつけるのは自然科学的な論争でなく社会科学的な解決法が求められる」と結論ずけている
【五條の考察】
12歳児の齲蝕の減少という一断面で見ることによって、自己評価を行ってきた歯科医師会の功罪は岐阜県歯科医師会の取り組みで「草の根」から変わりつつあるのではないか
ただこれを、さらに拡大し継続するためには学校での「自分の体を大切にする」教育が重要になってくるはず
真木教授が言う「不毛なフッ素論争」はなんだか某国と日本との関係に似ており、メディアの力が重要ではないかと考えた
出典 月刊歯科衛生士 2016年2月号

シーラントが外れた場合、齲蝕になりやすいか

齲蝕のない臼歯を持つ187人の子供を対象に、左右どちらかの歯にシーラントを行い、反対側を対象としてシーラントをしなかった。
半年後23人のシーラントが外れていた。
この23人についてさらに18か月後齲蝕の検査をしたところ、シーラントが外れた歯の36本のうち4本が齲蝕になっていた
対象では36本のうち24本が齲蝕になっていた。
シーラントが外れた歯は対象歯と比べて、有意に齲蝕になる確率が減少した
ASDC J Dent Child. 1974 May-Jun;41(3):201-3.
Extended cariostasis following loss of pit and fissure sealant from human teeth.
Hinding J.
考察
シーラントは目視でとれていると判断されていても、微細な部分で残っている可能性が高い。そのため、外れていたとしても一定の効果を維持することができる