パーキンソン病の時の歯科治療

パーキンソン病とは、脳の「中脳」の「黒質」と呼ばれる部分の神経細胞が異常を起こした結果、 中脳黒質で作られている脳内の神経の働きに必要な「ドーパミン」という「神経伝達物質」が不足し発症する病気なのです。

このパーキンソン病では、生命維持や本能的動作に関わる無意識的な運動をコントロールする「錐体外路(すいたいがいろ)」の働きが損なわれてしまいます。

症状としては、動作の緩慢、手足の震え、筋肉の強ばり(固縮)、様々な歩行障害、等が挙げられています。

日本におけるパーキンソン病の発病率は10万人当たり100~150人といわれていて、その多くが中年以降に発症する病気で、ほとんどが初老期(50歳代後半)に発症しています。

歯科領域に関係するパーキンソン病の症状としては、まず、口をもぐもぐさせたり、舌を出したり唇を常になめ回したりする不随意運動(無意識に行う運動)を意味するオーラルディスキネジアが挙げられます。

また、食べ物を口に入れて食道へ飲み込むことを、「嚥下(えんげ)」といいますが、身体を円滑に動かすことができないパーキンソン病の患者さんでは、飲み込む機能がうまく働かないので、嚥下障害になってしまうのです。

そのため、食べ物を誤って気道に飲み込む「誤嚥」にも注意が必要になってきます。

さらに、口腔の筋機能の低下と治療薬の副作用に伴って、唾液の減少が起こり口腔内が非常に乾燥します。乾燥することによって、口腔粘膜の抵抗力が弱くなり傷に対する治りが非常に悪くなってしまいます。

パーキンソン病の患者さんの歯科治療は、担当主治医との綿密な連携の上で慎重な治療計画をたてながら進めていきます。

前述のオーラルディスキネジアによって義歯が不安定となるので、義歯の設計にあたっては着脱やアフターケアの利便性なども考える必要があります。

実際の治療時には転倒や起立性低血圧に注意しながら、血圧のモニタリングも必要になってきます。