ディスクレパンシー

英語のディスクレパンシー(discrepancy)とは「不一致」を意味する言葉ですが、歯科用語としてのディスクレパンシーとは全ての歯がキレイに並ぶために必要なスペースと、実際に存在するスペースとが一致していない、という意味で使われています。
歯が生えるスペースが不足していることをマイナスディスクレパンシーといい、逆にスペースが余っている(空隙歯列弓)ときは「プラスディスクレパンシーと表現したりするのです。
歯科分野の矯正治療においての正式名称は「アーチレングスディスクレパンシー」というのですが、単純に分かりやすくいうと「歯が並ぶことができる骨の長さ」と「すべての歯の幅の長さの合計」の比較になります。
欧米人に比べて日本人に多いといわれている叢生(そうせい)とは、いわゆる「乱杭歯(らんぐいば)」の事ですが、これは顎のスペースが不足している、または歯が大きいために歯が重なって生えている状態になります。八重歯と呼ばれる犬歯が飛び出た状態も叢生の一種になるのです。
歯が生えるスペースが不足しているマイナスディスクレパンシーは、反対咬合や開咬などの様々な不正咬合を発生させる原因になってしまいます。
現代の日本人は昔に比べて食べ物を噛む回数がかなり少ないと指摘されています。これは加工食品が増えたのが原因で、あまり噛まなくなっているのが原因といわれているのです。
西アフリカのナイジェリアの子供の歯科疾患の実態調査が東京と当地の大学歯科学部との共同で行われた結果、ナイジェリアの子供たちのむし歯罹患率は日本の子供たちよりはるかに低く、噛む力も強いという結果が出されています。ナイジェリアの子供たちは日常的に固い食物をよく噛んで食べているため、歯周組織を健常にして強い歯や顎の発達を促進していると考えられているのです。
現代の日本の豊かな食生活によって、子供たちがあまり噛まなくなって顎の発達を妨げているのは皮肉な現象といえるでしょう。