片側ばかりで噛んでいませんか?
――その「噛み癖」が、顔のゆがみや顎の不調につながることもあります。
2025年10月28日 [医院ブログ]

◆左右どちらかでばかり噛んでいませんか?
「右で噛む方が楽」「左の方がしっくりくる」──そんな“噛み癖”を自覚している方はいませんか?
金沢文庫で開業して20年、かばのマークの五條歯科医院にも、こうした「片側噛み」に関するご相談が少なくありません。
同じ側ばかりで噛んでいると、顎(あご)や顔まわりの筋肉にアンバランスな負担がかかり、
次第に顔の左右差(非対称性)や顎の違和感が目立ってくることがあります。
最近の研究でも、片側噛みの習慣が顔のゆがみや顎関節(TMJ)の変形に関係していることが報告されています。
(Heikkinen et al., 2024/Wang et al., 2015)
◆なぜ片側ばかりで噛んでしまうの?
例えば、歯を失った部分があると、自然と反対側で噛むようになります。
また、歯が欠けていたり、痛みやぐらつきがある場所を無意識に避ける人も多いものです。
さらに、すべての歯がそろっていても「噛みやすい方」だけを使ってしまうケースもあります。
こうした「片側噛み」を長く続けると…
・噛む側の筋肉(咬筋)が発達しすぎてしまう
・顎関節の動きに左右差が生じる
・片側の法令線が深くなる・頬の高さが変わる
・肩こり・頭痛が起こりやすくなる
などの変化が見られることがあります。
◆症例イメージ:左側でばかり噛んでいた40代女性のケース
40代の女性で、右下の奥歯を数年前に抜いたままにしていた方が来院されました。
「右では噛みにくいので左ばかり使っている」とのこと。鏡を見ると「左の頬が下がって見える」とお話しされていました。
検査では左側の咬筋が発達し、顎関節にも軽度の左右差が確認されました。
治療で右下の歯を補い、噛み合わせを整えたところ、半年ほどで顎の違和感が軽減。
「口元のバランスが戻った気がする」と笑顔で話してくださるようになりました。
※このケースは一般的な一例であり、すべての方に同じ経過が見られるわけではありません。
◆顔の筋肉も“使い方”で変わります
スポーツで片足ばかり使うと筋肉のつき方が違うように、
お口の中も「使い方」によって筋肉のバランスが変わります。
噛む側を偏らせると、その側の筋肉ばかりが発達し、顔のゆがみが進行してしまうのです。
これは見た目だけでなく、噛み合わせや顎の機能にも影響を与えます。
◆早めのチェック・治療が大切です
お顔のバランスや顎の違和感が気になるときは、早めのチェックをおすすめします。
五條歯科医院では、定期的なメインテナンスや噛み合わせの確認も行っています。
予防歯科の視点から、
「噛みやすく、バランスよく、おいしく食べられるお口」
をサポートしています。
左右均等に噛めることで──
・顎関節
・咀嚼筋の負担軽減
・顔の左右バランスの改善
・血流促進による肌のハリアップ
といった嬉しい変化も期待できます。
>>かみ合わせ、顎関節症の詳細はこちら
主な参考文献
- Heikkinen E.V. et al., Chewing side preference, facial asymmetry and related variables, PMC (2024)
- Wang Y. et al., Changes of masseter muscle asymmetry due to unilateral mastication, PubMed (2015)
- Ma H. et al., Evaluation of unilateral mastication on TMJ morphology, PubMed (2024)
- Miyazaki M. et al., Masticatory muscle imbalance affects condylar cartilage formation, ScienceDirect (2015)
- Tiwari S. et al., Chewing Side Preference — Impact on Facial Symmetry, TMJ and Oral Health, J Oral Rehabil (2017)
< 前の記事へ

© GOJO DENTAL CLINIC|金沢文庫の歯医者さん