
インフルエンザが流行する季節。
予防といえば、ワクチン接種や手洗い、マスク、換気などが思い浮かびますが、実は「お口の健康」とインフルエンザの関係についても研究が進んでいます。
毎日の歯磨きや歯科医院での専門的な口腔ケアには、どのような役割があるのでしょうか。
金沢文庫の五條歯科医院が、研究結果をもとに解説します。
お口の細菌とインフルエンザの関係
私たちの口の中には、数多くの細菌が存在しています。その一部は、インフルエンザウイルスの感染に関係する酵素を産生することが知られています。
例えば、口腔細菌がつくるタンパク質分解酵素などが、ウイルスの細胞への侵入を助ける可能性が研究されています。
つまり、お口を清潔に保つことは、むし歯や歯周病の予防だけでなく、呼吸器感染症への対策という観点からも注目されているのです。
ただし、こうした仕組みが確認されていることと、歯磨きによってインフルエンザを確実に防げることは同じではありません。
高齢者を対象とした研究では?
2006年に発表された日本の研究では、デイサービスを利用する高齢者190人を対象に、専門的な口腔ケアを受けるグループと、従来どおり自分で口腔ケアを行うグループを比較しました。
その結果、調査期間中にインフルエンザと診断された人は、専門的な口腔ケアを受けたグループで1人、比較グループで9人でした。
口腔ケアとインフルエンザ予防の関係を示唆する興味深い結果です。
ただし、対象は高齢者であり、発症者数も少ないため、この結果をすべての年齢層に当てはめることはできません。「歯磨きをすれば感染リスクが10分の1になる」と一般化することにも注意が必要です。
自宅でできるお口の健康管理
インフルエンザの流行期にも、日頃の口腔衛生習慣を続けることが大切です。
① 毎日の歯磨きを丁寧に
フッ化物配合歯磨剤を使用し、歯と歯ぐきの境目まで丁寧に磨きましょう。就寝前の歯磨きも大切です。
② 歯と歯の間も清掃する
歯ブラシだけでは届きにくい部分には、デンタルフロスや歯間ブラシを使用します。歯垢を取り除くことは、歯周病予防の基本です。
③ お口の乾燥にも注意する
唾液には、お口の中を洗い流し、粘膜を保護する働きがあります。
適切な水分補給を心がけ、口の乾燥が続く場合は歯科医院に相談しましょう。
④ 定期的に歯科医院で確認する
歯石や磨き残しなど、自分では十分に管理できない部分もあります。
歯科医院でお口の状態を確認し、必要に応じて専門的な清掃や歯磨き指導を受けることが大切です。
インフルエンザ予防の基本も忘れずに
口腔ケアは、ワクチン接種や基本的な感染対策の代わりになるものではありません。
厚生労働省は、インフルエンザの予防として、ワクチン接種、手洗い、適切な湿度の保持、十分な休養、換気などを挙げています。
発熱や強い倦怠感、咳などの症状がある場合には、無理に歯科医院を受診せず、事前に連絡して予約の変更をご相談ください。
金沢文庫で、お口から健康を考える
歯科医療は、むし歯や歯周病を治療するだけではありません。お口の健康を維持することは、食事や会話を楽しみ、健やかな生活を続けるための大切な基盤です。
横浜市金沢区の五條歯科医院では、「一生笑って、しゃべって、食べられる」ことを大切に、予防歯科に取り組んでいます。
インフルエンザが流行する季節だからこそ、毎日の歯磨きや定期的なお口の健康管理を見直してみませんか。
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参考文献・参考資料
・ Abe S, et al.「Professional oral care reduces influenza infection in elderly」Archives of Gerontology and Geriatrics, 2006.
・ 日本歯科医師会「お口のなんでも相談 特別編『インフルエンザ予防』」
・ 今井健一・神尾宜昌「口腔健康管理による呼吸器感染症予防対策の重要性を
・ 再考する」日本歯科評論、2025年
・ 厚生労働省「インフルエンザ(総合ページ)」